能作初のブランド複合型店舗 「NOUSAKU / NS by NOUSAKU」が東京ミッドタウンにオープン
工芸トピックス VOL.38

木工家、川合優による《無題(粉絵)》は、日々工房で木を切り、削り、研磨するごとに舞い散る木の粉と煙突の煤を集めて制作された平面作品である。
家具や器などの木工品は、生きていた木から作り出すもの。制作の過程で残された細かな木屑にも命があり、無駄にできるものではない。「木の仕事ででた残渣を再び平面へ戻す それは自分の仕事に対する罪悪感を忘れないためのもの」と語る、木と向き合う川合の思想と哲学がそこにはある。
再び命を与えられた作品は、穏やかな色調の中に深いぬくもりや視線を誘うきらめきがあり、通常は廃棄される素材とは思えない有機的な存在となって見る者に迫ってくる。人と木の関わり、ものを作るということ、さまざまな問いかけを生む示唆に富む作品だ。