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日本の美術工芸を世界へ 特別展『センソリウム』開催

工芸と美術の境界を超え、新しい造形表現に挑む作家による作品を紹介する特別展『センソリウム』が、皇室ゆかりの御寺(みてら)として知られる京都・泉涌寺にて開催される。期間は2025年11月13日(木)~11月16日(日)。

「センソリウム」とは、視覚・聴覚・嗅覚・触覚・味覚という五感を総体として捉えた言葉。人は作品を鑑賞するとき、五感を通じて獲得したそれぞれの身体的・心理的な体験を、自身の記憶から蘇らせて作品に投影し、作品から得る新しい体験をフィードバックしているという。従来、工芸は素材の固有の特性に重点が置かれ、現代美術では形態、象徴性、感情的な影響が重視されてきたが、本展ではこれら二つを分類するのではなく、互いを結びつける特性に着目し、人を介したひとつの感覚体験の「回路」の創出を促す。これは、工芸における素材の質感や手技の痕跡が、五感による記憶を呼び覚ます身体的な体験へと観客を誘い、世界を見る新たな視点と体験を刺激する可能性を示唆するものだ。

本展では、金沢21世紀美術館にて国内外で活躍する作家と作品を紹介してきた黒澤浩美をキュレーターに迎え、ガラス、紙、土、漆、天然繊維、皮、樹脂などの素材を用い、試行と修練を重ねた手技によって形を生み出す16名の作家による作品を展覧する。会期中は作品の予約購入も可能。主催する「日本の美術工芸を世界へ実行委員会」の取り組みは国内外で高く評価されており、本展でも日本の美術工芸の国際的価値の向上と文化資源コンテンツとしての市場拡大への貢献が期待される。

豊かな自然と静謐な空気に満ちた泉涌寺で、日本を代表する作家たちの創作を五感全体で堪能してみてはいかがだろうか。

 

出展作家
青木 邦眞
石黒 幹朗
髙須賀 活良
田中 里姫
津守 秀憲
寺澤 季恵
名和 晃平
新實 広記
原嶋 亮輔
松崎 森平
牟田 陽日
森田 志宝
八木 マリヨ
八木 夕菜
山﨑 萌子
若林 和恵

日本の美術工芸を世界へ 特別展『センソリウム』
会期:2025年11月13日(木)〜11月16日(日)
時間:10:00~16:30受付終了(17:00閉門)
会場:泉涌寺(京都市東山区泉涌寺山内町27)
ウェブサイト: https://artkogei.com/

※イベントの詳細は公式ウェブサイトにて直接ご確認ください。

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KOGEI STANDARD

編集部

KOGEI STANDARDの編集部。作り手、ギャラリスト、キュレーター、産地のコーディネーターなど、日本の現代工芸に関する幅広い情報網を持ち、日々、取材・編集・情報発信を行なっている。