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『ロエベ財団 クラフトプライズ 2024』ファイナリストの作品がパリで展示

浅井 美樹(日本)《Still Life》 Photo: Courtesy of LOEWE Foundation

ロエベのクリエイティブディレクター、ジョナサン・アンダーソンの考案によって 2016 年に創設された「ロエベ財団 クラフトプライズ」は、今日の文化における工芸の重要性を認識し、才能、ビジョン、未来に新しい基準を確立する革新性を持って活動する作家を称える国際的な賞として毎年開催されている。ロエベ財団は今年で第7回となるロエベ財団 クラフトプライズのファイナリスト30人を発表。ファイナリストの作品はヨーロッパ最大の現代アートの拠点、パリのパレ・ド・トーキョーで2024年5月15日(水)から6月9日(日)まで展示される。

30名のファイナリストは専門家委員によって、124の国と地域の3,900を越える応募から選ばれた。応募作品は陶芸、木工、テキスタイル、家具、紙、籠細工、ガラス、金属、ジュエリー、漆、革の広範な分野に及んでいる。ファイナリストは16の国と地域からなり、最多のアメリカ合衆国に続き、日本と韓国からも多く選出されている。専門家委員会は熟考の上、技術的な達成度、技能、革新性、芸術的ビジョンなどの観点に基づいてファイナリストを選出した。

今年は多くの作品にリサイクル素材が再利用され、ゴムタイヤや圧縮木材など伝統的な工芸とは結びつきのない日常にありふれた素材を高度に変容させることに焦点が当てられている。選考過程について、専門家委員会のアナチュ・サバルベアスコア委員長は、「第7回目のロエベ財団 クラフトプライズでは、ガラス、銅、ワイヤーやシリコンなど、さまざまなリサイクル素材から制作された世界中の作家の作品の展示によって、工芸の境界線と視野を広げ続けています。私たちのインスピレーションは日常のモニュメント性を称えることに起因し、それは逆説的にアートと工芸の区別への挑戦でもあります。私たちにとって工芸とは、創造性、意味、文化、技術を体現するものであり、伝統は疑問を投げかけられ再考されることで維持されると信じています」とコメントしている。

2024年のロエベ財団 クラフトプライズ大賞受賞者は、デザイン、建築、ジャーナリズム、評論家、美術館学芸員など12名で構成される審査委員会で選出される。各界の第一人者の中には、デザイナーで日本民藝館館長の深澤直人や、2023年ロエベ財団 クラフトプライズ大賞受賞の稲崎栄利子も日本から参加している。今回の大賞受賞者は2024年5月14日(火)にパレ・ド・トーキョーの展覧会のオープニングで発表され、賞金5万ユーロが授与される予定だ。

 

◾️ロエベ財団 クラフトプライズ 2024 ファイナリスト
(アルファベット順、国・地域別)

アンドレス・アンサ(メキシコ)
浅井 美樹(日本)
パトリック・ボンゴイ(コンゴ民主共和国)
エマニュエル・ブース(フランス)
チュン・タイ・チェン(台湾)
ウンミ・チュン(大韓民国)
アンジュ・ダクーオ(マリ)
ケン・イーストマン(英国)
ジェレミー・フレイ(アメリカ合衆国)
カール・フリッチ(ニュージーランド)
ケヴィン・グレイ(英国)
レイヴン・ハーフムーン(アメリカ合衆国)
ユエフェン・ホー(中華人民共和国)
ファーン・ジェイコブス(アメリカ合衆国)
ラクソ・ジュガラップ(フィリピン)
金保 洋(日本)
ヒチャン・キム(大韓民国)
キラ・キム(大韓民国)
アリソン・クローニー・モーゼス(アメリカ合衆国)
中根 楽(日本)
沖 文(アメリカ合衆国)
オジオマ・オヌズリケ(ナイジェリア)
ウォン・リー(ジョンウォン・リー)(大韓民国)
相良 育弥(日本)
ルイス・サントス・モンテス(スペイン)
ザール・シェアリングス(オランダ)
ポリー・アダムス・サットン(アメリカ合衆国)
外山 和洋(日本)
ノーマン・ウェーバー(ドイツ)
デバロウン(ダヒョン・ユ)(大韓民国)

◾️関連情報
ロエベ財団 クラフトプライズ 2024
開催期間: 2024年5月15日(水)~6月9日(日)
会場: パレ・ド・トーキョー(フランス、パリ)
ウェブサイト: https://craftprize.loewe.com/ja/craftprize2024

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KOGEI STANDARD

編集部

KOGEI STANDARDの編集部。作り手、ギャラリスト、キュレーター、産地のコーディネーターなど、日本の現代工芸に関する幅広い情報網を持ち、日々、取材・編集・情報発信を行なっている。