『谷穹 抽象と静寂』展覧会レポート
展覧会・イベントレポート VOL.30
展覧会情報やインタビューなど、工芸に関するさまざま情報を発信しています。
東京都
2024.12.11 – 12.17
柿傳ギャラリー
東京都
2024.12.12 – 12.25
セイコーハウスホール
東京都
2024.12.13 – 12.18
銀座 日々
京都府
2024.12.13 – 12.25
Kyoto yamahon
煙突のある風景が印象的な陶芸の町、岡山県備前市。備前焼作家である山本出さんは、1975年、ろくろの名手であった父、山本陶秀氏から独立して窯を開いた。かつて彫刻家を志していた出さんは、色土を用いた「出彩(しゅっさい)」や、板状にした土を積み上げて成形する「積上(つみあげ)」など、備前焼のイメージを一新するような独自の手法を確立。その自由な発想と備前焼の可能性を広げる取り組みは、現在、長男の周作さんと、次男の領作さん兄弟が受け継ぎ、2014年に、父の名から「出製陶」と名付けた新ブランドを立ちあげた。
二人が手がける器は、備前の土に顔料を混ぜ、その色土から生まれる青や黄色などの鮮やかな発色が特徴だ。備前の土は鉄分を多く含んでいるため、色が出しづらいが、試作を重ねることで、安定して発色させる方法に辿り着いた。そうして作り出した色土をろくろで丁寧に形作り、備前焼の素朴な風合いを表現できる特注のガス窯を活用して、現代の生活に彩りを添える製品づくりに励む。
素地に藁を用いて模様を生み出す技法「緋襷」など、備前の伝統技法と発色豊かな色土を重ね合わせることで、独創的な表現を追求する二人。海外バイヤーとの商談会にも積極的に参加し、将来を見据えた活動を続けている。また、出氏の作品と合わせての親子展など、継承を意識した展開にも取り組んでいる。