『ロエベ財団 クラフトプライズ 2024』ファイナリストの作品がパリで展示
注目の展覧会・イベント VOL.52
展覧会情報やインタビューなど、工芸に関するさまざま情報を発信しています。
東京都
2024.4.17 – 6.30
戸栗美術館
2024.4.18 – 6.16
三井記念美術館
東京都
2024.4.20 – 4.28
八丁堀 陶ギャラリーとべとべくさ
2024.4.26 – 5.9
SPIRAL Market
長野県にある木曽地域は、美しい森林と清流に恵まれた日本有数の避暑地であり、木曽漆器の産地として知られている。その地で、丸嘉小坂漆器店は1945年に創業した。二代目の伝統工芸士、小坂康人さんは、鏡面のように平らで豊かな光沢がある「呂色塗り」の座卓を中心に制作していたが、ライフスタイルの変化とともに需要が減少。新商品の開発を模索するなかで、座卓制作時に苦心していた漆とガラスの組み合わせに着目し、長野県工業試験場の協力を受けて、漆をガラスに定着させることに成功した。
漆ガラスの表現の特徴の一つが、ガラスに透ける美しい漆の色だ。様々な色合いを自社で考案し、一色ずつ丁寧に筆描きする。集中力のいる作業であるが、手描きによる繊細な装飾が施されたガラスウェアは味わい深い。また、繊細な手入れが不可欠な木製の漆器に比べて、漆ガラスは、金属のカトラリーにも対応できるなど、使い勝手が良く、日常使いにも最適だ。
1994年に発表した、漆グラスの「すいとうよ」を皮切りに2013年には外部デザイナーと共に新ブランド「百色 hyakushiki」を立ち上げた。万華鏡から着想を得たこのシリーズは、ガラスに透けた複数の漆の色が美しく反射し、これまでの漆器のイメージを一新するデザインであり、日本だけでなく、世界中の食卓に映えるように工夫されている。2017年には、一級家具製作技能士の資格も持つ玲央さんが三代目に就任。木曽のブランドを世界に発信するため、新たな挑戦を続けていく。