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『ててて商談会2021.10』 レポート

ててて協働組合は、10月13日(水)から15日(金)の3日間に渡り、東京 南青山のスパイラルホールにて合同展示会「ててて商談会2021.10」を開催した。

総勢約80組の作り手が出展した今回の商談会。ててて協働組合設立当初より出展を続けている石川県の山中漆器メーカー 我戸幹男商店は、新作「アロマディフューザー」を提案(価格・販売時期未定)。これは、同県九谷焼の製土メーカー 谷口製土所とのコラボレーション商品で、山中漆器の蓋物の中に入れた九谷焼の原料「花坂陶石」にアロマオイルを垂らして使うというもの。ギフトにぴったりの粋な商品だ。社長の我戸正幸さんは、「この商談会は、いつもお世話になっているお客さまとのコミュニケーションの場。他の出展者も感度が高いので、さまざまな情報交換もできて刺激になる」と話す。

ててて商談会2021.10
©Naoki MIYASHITA

新作・アロマディフューザー(我戸幹男商店)

バリエーション豊かな建築内装材(輪島キリモト)

同じく常連出展者で、木工・漆製品の展開を手掛ける石川県 輪島キリモトは、輪島塗の下地に用いられる珪藻土の特徴を活かした、金属のカトラリーにも強いプレート類をはじめとするテーブルウェアの展示のほか、建築内装のサンプルパネルも展示。「建築デザイナーやプランナーの方々にもご覧いただける機会。テーブルウェアも建築内装材もどちらも提案できるのが強み」と社長の桐本泰一さん。

人気の「funew」シリーズ(木本硝子)

東京の硝子メーカー 木本硝子は、使用済ワインボトルを活用した「funew」シリーズを展示。SDGsへの関心が高まる昨今、アップサイクルの視点を取り入れた当シリーズはバイヤーからも注目を集めた。富山県高岡市の高岡漆器メーカー 駒井漆器製作所は、木に槌目を付け漆や箔で仕上げたユニークなプレート「鍛木皿」を展示。木のぬくもりと槌目が融合した唯一無二の風合いは、新たな料理の器としての可能性を感じさせる。

「作り手」「使い手」「伝え手」の3つの手が共鳴しあえることを目的に掲げて活動してきたててて協働組合は、2021年秋で活動開始から10周年を迎えた。「作り手」「伝え手」のコミュニティの場と位置付けられるててて商談会は、大きく変化していく時代の中で、これからのものづくりを「使い手」に繋げるべく、盛況のうちに幕を閉じた。

文:堤 杏子

■ 関連情報

・ててて協働組合 ウェブサイト
https://tetete.jp/

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KOGEI STANDARD

編集部

KOGEI STANDARDの編集部。作り手、ギャラリスト、キュレーター、産地のコーディネーターなど、日本の現代工芸に関する幅広い情報網を持ち、日々、取材・編集・情報発信を行なっている。