「クラフトマンシップ」
連載コラム『日本工芸の歩む道』後編「現代社会と工芸」 VOL.2
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熊本県出身の山根晃司さん。子どもの頃から手で物をつくることが好きで、職人の仕事に興味があった。大学の工学部を卒業して就職したが、職人になりたいという気持ちを抱き続けた。
そんななか、竹工芸と出会い、竹又に入社。竹が持つ天然の美しさと、加工次第で様々な形に姿を変える奥深さに魅了され、技を磨いてきた。竹又では、竹細工を施した小物の制作の他、竹垣などの造園の仕事も多く、幅広い加工技術を習得することができた。素材の選定から製品の完成までを一人で完遂する。鉈を使って、いとも簡単に竹を等間隔に割っていく山根さんだが、かつては恐れを感じていたという。
丸くて節があり、扱いづらい竹の加工は、怪我と隣り合わせの作業なのだ。「自分の満足というより、人に認められる仕事をするのが職人。そのためには、平常心を保つことが大切です」と語る山根さん。17年の経験は技術の向上と共に心の鍛錬へと向かう。