「クラフトマンシップ」
連載コラム『日本工芸の歩む道』後編「現代社会と工芸」 VOL.2
展覧会情報やインタビューなど、工芸に関するさまざま情報を発信しています。
明治42年に京都で創業した堤淺吉漆店。採取された漆の樹液を仕入れ、精製・調合・調色を一貫して自社で行ない、漆芸材料・道具の販売を手掛けている。独自開発した耐候性に優れた漆は、日光東照宮、姫路城などの国宝重要文化財や、世界遺産建造物の修復、京都迎賓館調度品にも採用され、堤淺吉漆店の国産漆取扱量は現在国内で70%を超えている。
漆の文化を未来に繋ぐための活動にも積極的で、漆の魅力と可能性を伝える取り組み「うるしのいっぽ」や、サーフィン、スケートボード、BMXなどのスポーツを通して漆の新しい価値観や可能性を発信する「BEYOND TRADITION」、植樹と循環的ものづくりの事業「工藝の森」など、多くのプロジェクトを推進している。
今春、新たな活動拠点として、漆精製工場に隣接する事務所・倉庫をリノベーションしたフラッグシップショップ「Und.」(アンド)が2024年4月20日(土)にオープンする。1階は漆芸に必要なあらゆる材料・道具が揃う漆芸専門店。金継ぎ・拭き漆・漆塗りの体験キットや関連書籍も揃い、英語対応可能なスタッフも常駐。木製漆塗りサーフボード・スケートボードブランド「漆板 siita-」の仕上げ工房も併設され、製作途中の品を見ることができるほか、オーダーも可能。ショップ奥には創業時から受け継がれる漆精製工場があり、ツアーや工場見学も開催される。3階には特注の漆乾燥ムロ(漆を硬化させる為に温度湿度管理をする特別な箱)を完備した漆塗り工房を新設し、自社で漆塗り加工が可能に。いずれは漆芸家を目指す若手の共用アトリエとして、また国内外のアーティストが滞在しながら制作活動を行なう場としても活用予定。広々としたフリースペースやオープンキッチンも設けられ、さまざまなジャンルのワークショップやイベントが計画されている。
オープニングエキシビジョンとして、写真家の大杉隼平氏を迎えての企画展 『SHUMPEI OHSUGI Photo Exhibition』が2024年4月20日(土)から5月12日(日)の日程で開催予定。自然との共生を考え、人と工芸を繋ぐ新たな拠点として、今後も活動に注目していきたい。
◾️関連情報
Und.
住所:京都市下京区間之町通松原上る稲荷町540
営業時間:11:00〜18:00
定休日:日・月
ウェブサイト:https://www.tsutsumi-urushi.com/und
※2024年4月20日(土)オープン
オープニングエキシビジョン『SHUMPEI OHSUGI Photo Exhibition』
会期:2024年4月20日(土)〜5月12日(日)
営業時間:11:00〜18:00
定休日:日・月