第2回京都クラフト&デザインコンペティション『TRADITION for TOMORROW』開催
工芸トピックス VOL.41

展覧会情報やインタビューなど、工芸に関するさまざま情報を発信しています。
2025.9.9 – 11.24
国立工芸館
東京都
2025.9.11 – 9.28
BONDED GALLERY
2025.9.13 – 12.7
京都市京セラ美術館
東京都
2025.9.17 – 9.22
日本橋髙島屋
高取焼宗家は黒田藩の御用窯を起源に持つ、初代髙取八山の直系窯元。江戸時代には茶人・小堀遠州の指導を受け、「綺麗寂び」と呼ばれる洗練された作風の茶陶を生産するようになり、今も福岡県東峰村で代々一子相伝の技を継承している。唐臼で細かく砕いたきめ細かい粘土や、受け継がれてきた多彩な釉薬を用いた、瀟洒で優美な表現が持ち味だ。
本作《中海茶入》は、十一代静山と十二代八山から陶技を学んだ当代・十三代八山の手によるもの。胴のやや扁平でふっくらとした形状が特徴で、口造りは高取焼らしく薄く丁寧に仕上げられており、口径が大きく使いやすい。落ち着いた色合いと牙蓋(げぶた)の柔らかな白の相性も良い。重ね掛けによる釉薬の色彩は複雑で繊細な変化を見せ、遠州好みの景色を作り出している。正面の一筋なだれは、この茶入の最も重要な見どころと言えるだろう。
かつて大名たちに珍重されてきた高取焼の茶入。その伝統を受け継ぐ当代八山の作品は、確かな気品に満ちている。