「日本のラグジュアリー」
連載コラム『日本工芸の歩む道』後編「現代社会と工芸」 VOL.4

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愛知県
2025.12.6 – 12.14
十六画廊
2025.12.9 – 2026.3.1
国立工芸館
東京都
2025.12.12 – 12.27
HULS GALLERY TOKYO
岐阜県
2025.12.13 – 12.28
GALLERY crossing
17世紀初頭、茶の湯の世界で人気を博した高麗茶碗を国内で生産するべく、朝鮮人陶工を招聘し城下でやきものを作らせたことから開窯した萩焼。高麗茶碗には数多の種類が存在するが、なかでも当時の侘び寂びの美意識が映し出された井戸茶碗は、特に珍重されたものである。
吉野桃李作《萩 大道井戸茶盌》は、萩焼に使用される代表的な土「大道土」を水簸せずに単味で用い、ろくろで成形した後、穴窯で焼成して作られている。大ぶりな碗の全体に見られる細かな貫入と高台周りに表れた梅花皮、作家の息遣いが感じられるろくろ目や指跡、そして自然降灰による柔らかな枇杷色の釉調など、全ての要素が重なり合い、萩の地で作られてきた井戸茶碗の魅力を語るにふさわしい趣が生まれている。
静寂に包まれた山中で作陶に没頭し、萩焼の原点を真正面から見つめる吉野氏が表現するのは、萩焼の素直な佇まいであり、それこそが氏の作品すべてに内包された美しさではないだろうか。彼の作る茶碗には、どこか現代人の心を揺さぶる力があるように感じられてならない。