『JAPAN CRAFT EXPO 日本工芸産地博覧会2025』大阪で開催
注目の展覧会・イベント VOL.66

展覧会情報やインタビューなど、工芸に関するさまざま情報を発信しています。
2025.6.26 – 7.2
柿傳ギャラリー
2025.6.28 – 7.6
白白庵
岐阜県
2025.6.28 – 9.28
岐阜県現代陶芸美術館
2025.6.29 – 9.7
緑ヶ丘美術館 別館
ゆるやかに立ち上る霧の中、朝日を受けて輝く薬師寺。奈良を象徴する景色を映し出す茶碗は、赤膚焼の窯元、香柏窯で作陶を行なう尾西宏紀による作品だ。奈良を代表するやきものである赤膚焼は古い歴史を持ち、当地の寺社にも多くの作品が納められている。
艶のある釉薬の上からも土感を感じる手触りと、しっとりとした風合いの高台を持つ茶碗は、国宝の薬師寺東塔の修繕の際に、基礎部分より掘り出された創建時の土を譲り受けて作られた。鉄分が多く焼成は困難であったが、試行錯誤の上、基壇土のみを陶土として使用。焼成によって茶碗の見込みに現れた釉薬の変化を朝霧に見立て、その中に立つ薬師寺の姿が金彩で丁寧に描かれている。かつての都、平城京最古の建造物であり1300年の時の流れを汲む薬師寺の化身のように、その佇まいは揺るぎなく、力強い。