「クラフトマンシップ」
連載コラム『日本工芸の歩む道』後編「現代社会と工芸」 VOL.2
展覧会情報やインタビューなど、工芸に関するさまざま情報を発信しています。
1688年に京都・西陣に創業して以来、西陣織の歴史を受け継ぎ、着物文化の伝統を守り続ける細尾。2010年には独自の技術により、世界の標準生地幅の150cm幅で西陣織の技術や素材を用いたテキスタイルの制作に成功した。現在、自社テキスタイルブランド「HOSOO」の、伝統的な織物に革新的技術とタイムレスなデザイン感性を加えたテキスタイルは、国内外のラグジュアリーブランドの店舗内装や五つ星ホテルに広く採用されている。2019年に京都の旗艦店「HOSOO FLAGSHIP STORE」、2023年2月にはイタリア・ミラノ・ブレラ地区に初の海外拠点としてショールーム「HOSOO MILAN」がオープン。そして2023年3月、東京初となるショールーム&ストア「HOSOO TOKYO」が新規開業の「東京ミッドタウン八重洲」に誕生した。
利便性の高い1階のエントランスに位置する店舗は、天井高4メートルに及ぶ窓から自然光が入る、広々とした心地良い空間。京都の旗艦店同様、HOSOO architectureが空間設計を手掛けたこだわりの工芸建築で、京都の職人技が店内の随所に見られる。200種類以上のコレクションが並ぶ12メートルにわたるテキスタイルセラーには、6パターンの空間照明が用意されており、さまざまな環境下でのテキスタイルの見え方が確認可能だ。西陣織の伝統的な素材である箔を用いたアートピースや、セラーから好みの生地を選んで、テキスタイルアートやオリジナル家具の生地をオーダーすることも出来る。
店舗ではオープンを記念して、厳選した最上級の絹糸で織り上げた生地を絶滅危惧種の古代染色植物・ニホンムラサキで染め上げたスリープウェアを発売。ニホンムラサキはHOSOOが設立した古代染色研究所で栽培・染色を行なっており、技術研究により生み出された製品は上品な色彩と柔らかな風合いで、包み込まれるような着心地だ。
また、東京ミッドタウン八重洲の1階エントランスには、HOSOOの西陣織とLEDビジョンを組み合わせた高さ11メートル、幅7.5メートルのゲートアート「Nishijin reflected」が設置され、来場者を迎えている。日本の美意識と工芸文化を受け継ぎ、飽くなき探究心が生み出してきたテキスタイルとプロダクトを体感できる「HOSOO TOKYO」。今訪れたい注目の場所だ。
■ 関連情報
店舗名:HOSOO TOKYO
住所:東京都中央区八重洲2丁目2番1号 東京ミッドタウン八重洲1F
営業時間:11:00〜21:00
TEL:03-6225-2245
ウェブサイト:www.hosoo.co.jp