「日本のラグジュアリー」
連載コラム『日本工芸の歩む道』後編「現代社会と工芸」 VOL.4

展覧会情報やインタビューなど、工芸に関するさまざま情報を発信しています。
愛知県
2025.12.6 – 12.14
十六画廊
2025.12.9 – 2026.3.1
国立工芸館
東京都
2025.12.12 – 12.27
HULS GALLERY TOKYO
岐阜県
2025.12.13 – 12.28
GALLERY crossing
日本には、国宝や重要文化財を中心とした、絵画や書跡などの美術工芸品の保存と修理を手がける(社)国宝修理装潢師連盟がある。京都で創業した黒田工房は、連盟に加盟する12工房より、障壁画の組子下地や縁の製作を請け負う数少ない木工業社である。創業は昭和36年(1961年)。以来、黒田工房は長年、屏風や襖の仕立てや修復に携わってきた。2015年に3代目社長に就任した臼井浩明さんは、組子の伝統技術を承継しつつ、木工芸の人間国宝である中川清司氏の薫陶を受け、京指物や曲物などの技術を加えた立体的な木工品にも取り組んでいる。
文化財の修復には、木工技術の歴史を知り尽くしている必要があり、豊富な知識と確かな技術が求められる。また、ミリ単位の精密な加工には、鑿(のみ)や鉋(かんな)を自分仕様にした方が精度が増すため、そうした道具作りにも木工職人の技が光る。
近年、黒田工房は、国際的な活動にも力を入れている。2016年には、イタリア・ミラノにて新作の木工品を発表。イタリア人デザイナーとのコラボレーション作品「Upon」は、木の味わいを残しながらも、臼井さんが得意とする立体的な表現を取り入れることで、新たな作風となった。文化財の保存・修理という伝統的な仕事を大切にしながらも、未来に向けて、黒田工房の挑戦は続く。