インタビュー:陶芸家・加藤亮太郎
VOICE VOL.7
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田園のやわらかな日差しが差し込む工房で、ただひたすらに木に向き合う二人がいる。京都伝統工芸大学校の先輩・後輩である臼井さんと崔さん。組子に使う木の性格を確かめるように、木の表面に鉋(かんな)を滑らせていく。
木工の仕事は、鉋や鋸(のこぎり)などの道具を理解することが、仕事の第一歩だ。「道具に教えてもらえ」とは、臼井さんが崔さんに技術を伝えるコツの一つである。兵庫県出身の臼井さんは、大学卒業後に一般企業に就職するが、手に職をと思い、木工の世界に飛び込んだ。京都で茶道指物や調度指物などの修行や木工作家としての活動を経て、独立。建具製造が専門の黒田工房と出会い、2015年に3代目として受け継いだ。崔さんは、神奈川県出身。職人を目指し、専門学校の先輩であった臼井さんの元に弟子入りをした。
組子とは、釘を一切使わず、編むように木を組んでいく繊細な木工細工だ。寸分の狂いが全体に響く。「きれいに組めば、木が吸いつくんです」。そう話す二人の目は、道を極める職人としての喜びに溢れていた。