「日本のラグジュアリー」
連載コラム『日本工芸の歩む道』後編「現代社会と工芸」 VOL.4

展覧会情報やインタビューなど、工芸に関するさまざま情報を発信しています。
東京都
2025.11.28 – 12.7
しぶや黒田陶苑
東京都
2025.12.2 – 12.7
八雲茶寮
愛知県
2025.12.6 – 12.14
十六画廊
2025.12.9 – 2026.3.1
国立工芸館
美濃陶、なかでも特に桃山時代の黄瀬戸に魅せられ挑み続ける作家、西岡悠。追い求める作品の実現に一切の妥協はなく、地元の原料にこだわって山で適した土を探し、釉薬となる灰や、焼成の研究を熱心に重ねている。
近年発表された新作《黒狐手黄瀬戸茶碗》は、黄瀬戸と楽焼の融合を試みる中で生まれた独自の作風だ。作家が目指す黄瀬戸は油揚肌と呼ばれる控えめな照りが特徴の、非常に難易度の高いものだが、本作は油揚げをさらにじっくりと焼いて焦がしたような質感がなんとも味わい深い。碗の内外に滲む黒色は黄瀬戸固有の穏やかな風合いを打ち消すことなく、互いを引き立たせている。
古来、日本では黒狐は太平の世の訪れと共に現れる平和の象徴とされてきた。楽焼の要素とその姿から「黒狐手」と作家が銘打った茶碗。そこには、平和への深い祈りが込められている。