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信楽 蹲

陶芸
工芸作家
谷 穹
産地
滋賀県・信楽
サイズ
Φ180 × H170 mm
素材
陶土

古の記憶

緻密な技が手繰り寄せたのは、古の記憶を宿す、静謐で無垢な佇まい。信楽の陶芸家・谷穹が手掛けた《信楽 蹲》は、中世の古信楽が備えていた、飾らぬ美学を現代に提示する。

蹲った人の姿に似ていることからその名が付いたとされる「蹲」。重心を低く置き、肩の張った安定感のある造形に、特徴的な二重口の意匠がアクセントを添える。穴窯の炎に晒された無釉の土肌は、褐色から焦茶、灰色、黒などの色彩が複雑に重なり合う、まるで大地の層のような景色を描き出す。そこには白い長石の粒が星屑のごとく表出し、その対比に惹きつけられた鑑賞者の視線は、自ずと作品全体を巡る。

やきものに宿る、作者の美意識。谷の作陶とは、先人が遺した美を紐解き、あくなき技術の探求を通じて、その哲学を現代に再構築することに他ならない。本作と対峙すれば、数世紀の時を超えて立ち現れる中世の気配が、静かに空間を包み込んでいく。

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