澤さんの手掛ける作品の特徴の一つに、バリエーションの豊かさが挙げられます。土と炎の力強さが伝わる信楽、個性豊かで遊び心のある絵付けが楽しい織部。そのほか志野や引出黒など、その手から生み出される作品は多種多様な魅力を備えています。その中でも、今回は「信楽」の作品に特化した展覧会です。薪窯を焚くこと4日、完成した作品がずらりと並び、圧巻の迫力で迎えてくれました。
信楽焼は、釉をかけず、土を成形して焼くのみのシンプルな制作過程ですが、土、造形、焼きの違いから、驚くほど多彩な作品が生まれます。今回も、自然釉の美しい茶碗、どこか愛嬌のある表情の狛犬、信楽の象徴的な色である緋色の食器、個性的な形の花入などが勢揃い。花入に品良く生けられた花々は、澤さん自ら信楽の山で採取してきたものです。作品と花が、見事に互いの美しさを引き立て合っていました。