国内外で陶芸を学ばれた高橋さんは、植物の実や種にインスピレーションを得た「自然の造形美」を、自らの作品を通して表現されています。陶芸の成形技法には、轆轤や手びねりなど様々な方法がありますが、高橋さんが用いているのは、型を使って成形する「鋳込」の手法です。型ならではの自由な造形と曲面に彫られた緩やかな稜線、その有機的な相関性の中で生まれる立体感と光の陰影。それらが一見不揃いながらも絶妙なバランスで一つの作品を構成する様は、見事の一言に尽きます。磁土の白さと質感は光との相性が良く、造形と陰影の美しさをより一層際立たせます。その意味では、パール釉やプラチナ釉の作品は高橋さんにとって新たな挑戦でしたが、パール釉は柔らかく、プラチナ釉は力強く光を映し出し、これまでの作品とはまた異なる魅力を見出させてくれました。作品の素材、造形、質感すべてが、高橋さんならではの独自性を形作っていると言えるでしょう。