「クラフトマンシップ」
連載コラム『日本工芸の歩む道』後編「現代社会と工芸」 VOL.2
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有田は、日本で初めて誕生した磁器の産地。17世紀初頭にこの地で泉山陶石が発見されたことに端を発する。それからおよそ200年の間、泉山陶石は有田焼の発展に大いに貢献してきたが、扱いづらさなどの理由から今ではほぼ使われておらず、現代の有田焼のほとんどは天草陶石を原料に生産されている。
寺内さんの染付作品は、見ているだけで楽しくなるような、味わい深い絵付けが魅力。ぐい呑をそれぞれ覗き込んでみるとよくわかる。一方、水切れの良さを意識して作られた機能性の高い宝ひん、幅広い用途に使えるミニ片口も、訪れた方々に好評だった。作品の土は全て泉山陶石だが、透明釉や呉須の調合、焼き方を工夫することで、一つひとつ異なる豊かな表情が生まれる。古伊万里に範を取り、当時の陶工に想いを馳せながら制作された器たちの、絵付けの筆遣いや釉掛けの指跡一つひとつに、寺内さんの有田焼への想いが込められているようであった。
文:堤 杏子