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『SHAPE & DECORATION vol.3』 展覧会レポート

2022年6月25日(土)〜7月3日(日)、東京 小石川のギャラリー 会津屋にて、ガラス作家の加倉井秀昭さんと廣島晴弥さんの二人展『SHAPE & DECORATION vol.3』が開催された。本展のテーマは「モノから生まれる暮らしのイメージ」。あるモノに惹かれるときや、それを手に取るとき、人はそのモノとともにある暮らしのイメージを思い描いているのかもしれない――。そんな仮説をもとに、モノ選びのきっかけが見つかる展示を目指した今回の展覧会。二人の作家による新作のコラボレーション作品約30点のほか、それぞれのソロ作品を含めた総勢約300点のガラス作品を展覧した。

コラボレーション作品《ゴブレット》

加倉井さんは、長野県富士見町を拠点に活動する吹きガラス作家。ヴェネチアングラスの技法を駆使した色彩豊かな作品が特徴で、他作家の制作を技術的に請け負う「ギャファー」としても信頼の厚い作り手である。一方の廣島さんは石川県金沢市に拠点を置くカットガラス作家で、自身のブランド「h collection」を展開している。繊細でシンプルなカットが施された、日常の中でそっと寄り添ってくれるような作品が魅力だ。

かれこれ20年来の親交があるという二人。『SHAPE & DECORATION』は廣島さんが発案し、加倉井さんに声をかけて始まった企画だそう。加倉井さんがガラスを吹いて形を作り、廣島さんがカットで装飾するコラボレーション作品が目玉の展示で、初めての開催は2018年だった。今回で3度目を迎える。「前回まではやや“分業”という感じがあったのですが、今回はよりコラボレーションらしい作品展になったと思います。オンラインで打ち合わせを重ね、コンセプトやデザインを練りました。共同制作した作品は、二人それぞれの要素が詰まった作品。みなさまの暮らしにフィットすると良いなと思っています」と廣島さん。「初めてのZoom会議は慣れない部分もあり、大変でした」と加倉井さんは笑う。

コラボレーション作品《ボトル》

コラボレーション作品のボトルやゴブレットなどを見ていると、二人の個性が絶妙なバランスで活きていることがわかる。ガラスの色、輪郭や厚み、カットデザインの隅々までが美しく調和した作品は、普段の暮らしを上質なものにしてくれそうなものばかりだ。デッドストックのガラスを使った廣島さんのリミテッドシリーズや、波模様が美しい加倉井さんのルフランタンブラーなどのソロ作品も好評を博している。

店主の杉田幸一郎さんによれば、「じっくり選んでいただいているお客様が多い」という。展覧会開催前に、作家と店主による「モノから生まれる暮らしのイメージ」のテーマに沿ったコラム連載にも挑戦した。ただ展覧するだけの展覧会でなく、さまざまな工夫を凝らして使い手へメッセージを投げかけた今回の試みは、多くの人を楽しませてくれた。次回の開催も待ち遠しい。

■ 関連情報

SHAPE & DECORATION 特設ページ https://h-collection.com/free/shape_and_decoration

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編集部

KOGEI STANDARDの編集部。作り手、ギャラリスト、キュレーター、産地のコーディネーターなど、日本の現代工芸に関する幅広い情報網を持ち、日々、取材・編集・情報発信を行なっている。