「クラフトマンシップ」
連載コラム『日本工芸の歩む道』後編「現代社会と工芸」 VOL.2
展覧会情報やインタビューなど、工芸に関するさまざま情報を発信しています。
真っ直ぐな目で釉薬を見つめ、一定のリズムで釉薬に器をくぐらしていく。釉薬のかかったお皿を独特の感覚でコンベアに置いていくその姿には瑞々しさがある。
色原さんは、暮らしに寄り添う陶磁器に惹かれ、岐阜県内の「多治見市陶磁器意匠研究所」への門を叩き、その後2015年に(株)深山に入社。「自分がいいと思うモノづくり、それによって人の生活を少しでも豊かにしたい」と言う。深山のある岐阜県瑞浪市は、若者離れが進む町だが、日本一の生産量を誇る美濃焼に憧れ、県外からこうして就職を希望する若者も少なくない。色原さんも、高知県より、ここ深山に辿り着いた。
釉薬染めは、淡々とした作業だが、それぞれの道が重なり合い一つの器は生まれていく。手に残る釉薬が、少しずつ彼を色濃く染めていくことだろう。