西山さんは、宙吹きでのガラス成形からカットや絵付けまで、全ての制作工程を自ら手掛けています。今回の展覧でひときわ目を引いたのは、大きな三つ足鉢「ふゆのしらせ 野ぶどうと雪虫」。口縁は緩やかな曲線を描き、柔らかな印象を与える造形です。「宙吹きだからこそできる動きのある形を作りたいと思い、今回初めてこの形に挑戦しました」と西山さん。透明なガラスの両面に施された野ぶどうの絵付けも鮮やかで、「今年は特に、家の周りの野ぶどうの色づきが良くて」と笑顔。さらに鉢を覗き込んでみると、野ぶどうの周りにふわふわの白い毛のついた小さな虫が描かれていることに気づきます。「これは”雪虫”と言って、北海道では初雪の降る2週間ほど前から飛び始める虫です。雪虫が飛ぶと冬がすぐそこまで来ていることを感じるのですが、実際に初雪が降るころには、雪虫はぱったりといなくなってしまうんですよ」。まさに晩秋の風物詩です。