「クラフトマンシップ」
連載コラム『日本工芸の歩む道』後編「現代社会と工芸」 VOL.2
展覧会情報やインタビューなど、工芸に関するさまざま情報を発信しています。
器の制作は、寺内さんをはじめ、瑞峯窯の原田耕三郎さん、徳幸窯の徳永弘幸さん、吉右ヱ門製陶所の原田吉泰さんの4名が担当。ARITA PLUSを構成する窯元の当主たちである。器のデザインを手掛けたのは、草月流華道家の内藤華了さん、後藤麗美さん、平井夏光さん。共に打ち合わせを重ね、器のデザイン・制作を進めてきた。このような試みはARITA PLUSとしても初めてだったと語る寺内さんは、「普段食器を制作することの多い有田焼では“薄さ”を追求しがちですが、草月流の先生たちには“厚く”することを求められました。薄い花入だと、花を生けたときの安定感に欠けてしまうんですね。排泥鋳込という技法を使った作品では、厚めに成形しようとすると型がたくさん水分を吸収して重くなってしまい、扱いが大変。素地を乾燥させているうちに割れてしまうこともあったり。難しかったです」。試行錯誤の末にできあがった作品は高い完成度を誇る。有田焼の卓越した技術が多彩な表現を可能にし、花と器の見事な競演が実現した。
■ 関連情報
・『ARITA×SOGETSU研究発表展』展覧会ウェブサイト
https://as.crc.saga-u.ac.jp/
・草月流 オフィシャルウェブサイト
https://www.sogetsu.or.jp/