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光井威善 作品展 『融けあうかたち』 展覧会レポート

2022年2月5日(土)〜2月10日(木)、東京 代官山 gallery mus にてガラス作家 光井威善さんの作品展『融けあうかたち』が開催された。今回の作品展では、新作の茶碗をはじめ、《Silence》《Bottle People》などの人気シリーズの作品計139点を展覧。

壁面に並ぶのは、光井さんの代表作のひとつ《Bottle People》シリーズ。モノトーンのガラスからは大人びた印象を受けるが、手吹きの滑らかな曲線で構成されるピープルはみな自然体でおおらかだ。片手を挙げて挨拶をする ”Hello” や小さく丸まった ”くるまる人”、ピープルとその住処のような ”Room” など、ユーモラスに、アンニュイに、静かに、それぞれのピープルが思い思いの空気をまとわせ佇んでいる姿を見ていると、自然と肩の力が抜けていく。この絶妙な空気感は、光井さんならではの造形・色彩感覚によって生まれている。

陽光の中での展示。映る影も美しい

オブジェとして、花器として

モノトーンの色彩と柔らかな造形が融けあう《Bottle People》

新作の茶碗

新作の茶碗は、ギャラリー店主のリクエストを受けて制作したもので、小ぶりな丸い形はシンプルながらしっかりとした存在感があり、好評を博した。《Silence》のカップにも丸い形が新登場。柔らかな色合いのガラスに繊細な削りが施され、実用的な器ながら静謐な表情が美しい《Silence》シリーズは安定した人気があるが、それにとどまらず新たなテイストに挑戦する、作家の気概を垣間見ることができた。

光井さんに、今回の展示タイトルである『融けあうかたち』について聞いてみた。「僕が常に大事にしているのが、緊張と緩和。色と色の重なりや、ポップさとクールさなど、二つの対極にある要素を取り入れて、それらが融けあったものを良いバランスで表現したいと思っています。昔は振りきったものを作ろうとしていたこともありましたが、曖昧なもののほうが自分には合っているみたいです」。その美意識の根底に流れる感覚は多くの人の共感を呼ぶ。曖昧さのなかに常に凛とした美を見出すことができるのも、光井さんの作品が愛される理由のひとつかもしれない。

文:堤 杏子

日常に取り入れたい器が並ぶ

■ 関連情報

・gallery mus
https://www.gallerymus.com/
〒150-0033 東京都渋谷区猿楽町20-13 三橋荘103
TEL: 03-6452-5159
営業時間 11:00~17:00
定休日 月曜

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編集部

KOGEI STANDARDの編集部。作り手、ギャラリスト、キュレーター、産地のコーディネーターなど、日本の現代工芸に関する幅広い情報網を持ち、日々、取材・編集・情報発信を行なっている。