『谷穹 抽象と静寂』展覧会レポート
展覧会・イベントレポート VOL.30
展覧会情報やインタビューなど、工芸に関するさまざま情報を発信しています。
東京都
2024.11.27 – 12.9
日本橋髙島屋
2024.11.28 – 12.8
セイコーハウスホール
東京都
2024.11.30 – 2025.2.2
松濤美術館
岐阜県
2024.11.30 – 2025.3.16
岐阜県現代陶芸美術館
拭漆職人の我戸宣夫さんは、我戸幹男商店の三代目。父であり二代目の幹男さんの「漆器はなくならん」という言葉に後押しされ、家業を継ぐことを決意した。
工業高校を卒業後に名古屋の漆器問屋で修行した宣夫さんは、1977年に、山中へと戻り、兄の彰夫さんと共に漆器の販売会社を設立。得意先の開拓はゼロからのスタートだったため、苦労したという。兄弟二人で電話帳で売り先を調べては、地図を片手に方々を訪ねてまわる日々。そうして実際に顧客の声を聞き、時代に合う商品を企画することが仕事のやりがいでもあった。産地の人びとへの感謝も募った。
分業制の山中漆器づくりにおいて、アイデアを形にできるのは、各工程の職人の協力あってこそ。「良いも悪いも共にする。ひとり勝ちしても意味がない。産地みんなで良くなることが大切です」と話す宣夫さんの声には、山中の未来を願う強い気持ちが込められていた。