MUFG工芸プロジェクト「KOGEI ARTISTS LEAGUE 2025-26」、22名のファイナリストが決定
工芸トピックス VOL.60

五つの筒が寄り添うように並ぶ《五連筒花入》。緩やかな弧を描く連なりは心地よいリズムを生み、花を生ける前から凛とした存在感を放つ。
紀平佳丈は、鑿や鉋、ヤスリを用いて木材を削り出し、一つひとつ丁寧に形を整えて作品を制作する。その手仕事から生まれる柔らかな輪郭は、端正な趣でありながら、機械加工では得難い温もりを宿している。欅の木肌に触れれば、素材本来の手触りや、ほのかな香りまで伝わってくる。一輪の花を挿せば、作品と花、そして周囲の空間が一つの景色となる。そこに生まれる余白もまた、暮らしの中に静かな時間をもたらす。
光と影が織りなす明暗の中で生まれる、自然素材ならではの豊かな表情。作品がはらむ穏やかな緊張感は、作家自らが器との距離感を意識して制作していることと無関係ではないだろう。使い手の手に渡った後も、緩やかな緊張感と程よい間を保ちながら、日々の営みとともに少しずつ愛着が育まれていく作品である。