文化の仕事と人材をつなぐ「CULTURAL JOB FAIR」京都での初開催を発表
工芸トピックス VOL.58

350年もの歳月、風雨にさらされ続けた欅の古材。その表面は銀煤色に枯れ、厳かな表情を湛えている。しかしその断面、わずか数ミリ奥からは、作家が「木の生命が残る」と語る、真新しい木肌が顔を覗かせる。
本作は、長い時が刻んだ枯れた質感と、断ち割られた瞬間に現れる生まれたての瑞々しい面を共存させた、いわば「時間」を可視化した作品である。木工家・川合優は、この小さな六つのキューブを通じて、私たちに「工芸とは何か」という問いを投げかける。そこにあるのは、形や用途を超越した、至極根源的な、木という素材そのものへの敬意ではないだろうか。川合の眼差しは常に、その素材が育まれた森の深淵――自然の営みへと向けられている。
表面のざらりと乾いた古材の感触と、断面の潤いを帯びた生命感。その極端な対比を通じて作家の思考の深層に触れる体験は、鑑賞者の好奇心を静かに揺さぶる。