特別展『創設90年記念 柳宗悦と日本民藝館』開催
注目の展覧会・イベント VOL.86

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六古窯の一つに数えられる愛知県瀬戸市は、日本で最も早く施釉陶器の生産を始めた地域である。なかでも中国青磁に倣った「瓶子」は、多くの伝世品や発掘品が残る、中世からの伝統を象徴する器種だ。瀬戸で作陶に励む寺田鉄平は、その古典的な造形を継承しながらも、手びねりによる成形と炭化焼締の技法を用い、土の質感を鮮烈に引き出した。
本作と対峙したとき、まず目を引くのは、静謐な闇を思わせる漆黒の佇まいである。作家は、土の表情を最大限に生かすため、あえて釉薬を用いず、焼成時の不完全燃焼により炭素を吸着させる「炭化焼締」を選択した。そうして生まれた独特な漆黒の肌合いは、土そのものの奥行きを際立たせ、現代的な美へと昇華されている。
「瀬戸の陶芸の伝統」と「土と炎の芸術」という二点にこだわって制作しているという寺田。そこには、古来の美意識への深い敬意とともに、現代の暮らしに確かな存在感を放つ、新たな表現が息づいている。