「クラフトマンシップ」
連載コラム『日本工芸の歩む道』後編「現代社会と工芸」 VOL.2
展覧会情報やインタビューなど、工芸に関するさまざま情報を発信しています。
長崎県の三川内で400年以上の歴史を持つ平戸洸祥団右ヱ門窯。安土桃山時代に平戸藩主が朝鮮半島から連れ帰った陶工を祖とし、江戸時代に平戸藩の御用窯として開窯した。窯の歴史は今に続き、現在も18代当主のもと、家族で伝統の技に根差したものづくりを行なっている。
三川内焼の魅力は繊細な細工と染付だろう。立体的な菊の装飾は窯に代々伝わる技法で、陶土の塊から竹べらで花びらを一枚ずつ切り出す緻密な作業を何周も繰り返して形作られる。神官が被る烏帽子をかたどった蓋の摘みにも注目したい。天草陶石の曇りなき白磁を飾る精巧な意匠、内から滲むような呉須の青が実に優美な作品である。