越前漆器のメーカー、漆琳堂が産地の課題解決に向き合い、自社内に木地場を新設
工芸トピックス VOL.28
![](https://www.kogeistandard.com/jp/wp/wp-content/uploads/2024/07/main-640x425.jpg)
展覧会情報やインタビューなど、工芸に関するさまざま情報を発信しています。
東京都
2024.7.11 – 9.29
戸栗美術館
岐阜県
2024.7.13 – 9.29
岐阜県現代陶芸美術館
富山県
2024.7.13 – 10.14
富山市ガラス美術館
東京都
2024.7.26 – 7.31
柿傳ギャラリー
「緋写り」は錦鯉の一種で、漆黒の地に燃えるような朱の斑紋を持つ。その色彩に共鳴し名付けたという本作「緋映(ひうつり)」は、木地師 田中瑛子の確かな木地挽きの技術と、黒・朱・金を自在に操る色彩感覚が融合した作品。滑らかに挽かれた流線形と、魚の尾のようにも見える高台は、池の中を優雅に泳ぐ鯉を連想させる。杢目に沿った朧げな金色の筋は、水面に映る波紋のように、緩やかにたなびいている。
田中氏は、木地挽きの修行を積む中で栃という素材に出会い、その個性の豊かさに魅了されたという。栃ならではの繊細な杢目の魅力を最大限に引き出すため、一つひとつ自らの手で形を削り出し、それが最も美しく見える状態まで丁寧に漆を塗り重ね、研ぎ、磨いていく。一切の妥協を排した作品は芸術的に完成度が高く、酒器としてだけでなくオブジェとしても見栄えのするものだ。作家のこだわりが詰まった作品を、手元でゆっくりと味わってみたい。