インタビュー:陶芸家・加藤亮太郎
VOICE VOL.7
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木地師である田中瑛子さんは、愛知県安城市で生まれた。幼い頃から工作や裁縫など、手を動かすことが好きで手仕事への魅力を覚えていった。美術鑑賞が好きな両親の影響で、気づけば日本の伝統的な「赤と黒と金」という漆の配色に心を奪われ、漆芸の技術を学びたいと思うようになった。
高校卒業後は、大学で漆芸を学ぶ中でさらなる技術を求めて漆器の木地挽きの産地である石川県・山中の研修所に入学。木地師の中嶋虎男氏に弟子入りする。そこでは木地挽きの技法とともに、栃の木を美しく染める技法を習い、そこから自らの作風を思い描くようになる。「栃はたくさんの個性を持つ木。だからこそ向き合いながらその木の良さを引き出していく。白い栃の木は私の好きな赤と黒の色が生きるんです」。
2012年には、ニューヨークの作品展に参加。自身の作風を海外で評価されたことを受け、作家としての道を歩むようになる。石川県加賀市にあるギャラリー「FUZON」のオーナーである山根氏と結婚し、現在は二人三脚で作家活動と平行して国内外でワークショップなどを行いながら、漆と木の魅力を伝え続けている。