『工芸シンポジウム「伝統と未来を考える」〜今、求められる革新とは〜』開催
注目の展覧会・イベント VOL.57
展覧会情報やインタビューなど、工芸に関するさまざま情報を発信しています。
2024.9.10 – 11.4
静嘉堂文庫美術館
2024.9.13 – 9.28
HULS GALLERY TOKYO
2024.9.14 – 9.19
寺田美術
東京都
2024.9.14 – 9.22
会津屋
「写し」とは、本歌への惜しみない賛辞であると同時に、自らの技と感性をもってその美を表現することへの、陶芸家の気概が顕著に表れるものだ。
本作《白茶碗 不二山》は、言わずと知れた桃山時代の文化芸術の大家、本阿弥光悦作《白楽茶碗 銘不二山》の写しである。《白楽茶碗 銘不二山》は、日本の国宝にも指定されている稀代の名品。柳下氏は、桃山時代に生まれた数々の名品を愛し、こうした写しの制作に取り組む中で、着々とその完成度を上げてきている。
白釉が炭化によって黒く発色し片身替りの様相を呈すこの茶碗は、本歌の銘の由来に違わず、白雪を頂く美しい富士山を連想させる。艶やかな白と黒、細かい貫入、切り立つような形の全てに、光悦の時代から変わらぬ日本の美意識が見て取れるようだ。柳下氏が過去の名品と丁寧に向き合い制作する作品は、観る者に新たな感動を与える逸品となるであろう。