インタビュー:陶芸家・加藤亮太郎
VOICE VOL.7
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唐津の里山にある隆太窯は食の器で名高い。海の幸、山の幸が豊富な当地で自身も料理を嗜む中里健太氏の創作は、盛り付ける料理を思い描くことから始まるという。使い手の心を刺激する、料理のための器が氏の持ち味だ。
唐津焼における焼締の歴史は新しく、氏の祖父が制作を始めた技法である。本作はその釉薬を使わない技法により、鉄分が多く荒さの残る土味の面白さが存分に引き出され、橙や赤に色づく窯変が個性的な彩りを添えている。縁が立った浅い形状は、和洋問わず様々な料理と相性が良く、器を思うままに楽しんで欲しい、という作家の思いが感じ取れる。
生まれ育った土地で家族と囲む食卓が何よりの創作源である作家の器。世界の料理人から器を愛好する人まで多くの人々を魅了する、まさに食を慈しむための器である。