「クラフトマンシップ」
連載コラム『日本工芸の歩む道』後編「現代社会と工芸」 VOL.2
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日本のみならず、世界にその名を知られる有田焼。日本で初めて磁器が作られた場所であり、その後今に至るまで400年以上、歴史ある磁器の産地として時代の流れを映した高品質の器を世に送り出している。
李荘窯4代目の当主、寺内信二氏は有田の地で日々実直に物作りに向き合いながら、世界を見据えて日本工芸を率いている人物の一人。有田焼を探究する中で、どこか温もりを感じる初期伊万里の古い皿に出会い、その染付の色褪せない青の美しさに感銘を受ける。以後、伝統を継承しながらも現代の食卓に馴染み、時代を超えて人に感動を与える器を作り続けている。
本作は、ろくろ成形ならではのしなやかな形状や、初期伊万里を彷彿とさせる柔らかな色合い、一面に手描きされた緻密な花唐草模様が圧巻。この先の未来へ続いていく有田焼への想い、寺内氏の美学が込められた作品である。