文化の仕事と人材をつなぐ「CULTURAL JOB FAIR」京都での初開催を発表
工芸トピックス VOL.58

空を映し、風に揺れ、きらめきを放つ水面。その下には、ゆらめく水中の景色が広がる。鹿田洋介作《みなも》は、そんな光景のフィルムを見ているような鑑賞体験を提示する。作家は、見る角度や光の加減によって刻一刻と表情を変える水面を、内被せによる透明な色彩の重なりで表現。光が複雑に屈折・反射することで、ガラスに柔らかな揺らぎと奥行きが生まれ、移ろう時間と空間が立体的に立ち上がる。
石川県を拠点に活動する鹿田洋介は、「移り変わるもの」を自身の制作の主題としてきた。季節や感情、時間など、目には見えない変化や、その重なりによって生まれる現象に関心を寄せ、ガラスを「間を繋ぐ素材」と捉える。温度によって固体と液体の姿を行き来し、柔らかさと硬さ、弱さと強さを併せ持つ素材の特性を生かしながら、変化そのものを可視化する表現を追求している。
《みなも》は、透明な色彩と光の揺らぎを通して、絶えず変化し続ける世界の豊かさを映し出す。何気ない風景の中に潜む美しさや、移ろいそのものの価値に静かに目を向けさせる作品である。