「クラフトマンシップ」
連載コラム『日本工芸の歩む道』後編「現代社会と工芸」 VOL.2
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李朝時代の朝鮮半島に起源を持つ刷毛目茶碗。日本へは17世紀初頭に伝来し、唐津で焼かれ始めたとされる。暗めの素地に刷毛や藁束で白化粧を施すシンプルな茶碗であるが、その装飾効果は幅広い。刷毛を走らせる勢いや刷毛の粗さ、濃淡、打ち付ける力の強弱によって、多種多彩な表情を見せてくれる。
三藤るい作「刷毛目茶碗」は、正面に二筋、大胆に打ち付けられた刷毛目が目を引く端反り型の茶碗だ。勢いある真っ白な刷毛目が黒い胎土に映え、自然体でうつわに向き合う作家の心持ちを想起させる。見込みの装飾は控えめだが、粗めの土から表れた石はぜや全体の小さな釉の縮れが趣深い味わいを添えている。茶映りもきっと申し分ないことだろう。
刷毛目茶碗の新たな魅力を発見できる作品である。